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2019.8.6

融資を受けて資金繰りがきつくなる!?

 最近、「銀行からお金を借りても借りても、資金繰りが楽になるばかりか、なんだかどんどん資金繰りが苦しくなっている気がするんだけど、その理由が分からない」というご相談を立て続けにお受けしました。

 銀行からの借入金残高は、一年前、二年前と比べて減ってはいないが、かと言って増えているわけでもない。売上、利益もあまり変わらないのに、何故か日々の資金繰りだけが徐々に忙しくなり、銀行からお金を借りなければいけない機会も増えてきた、そんな答えの見えない不安を抱えていらっしゃる経営者は意外と多いものです。

 実は、実際に数字を置いて計算してみると、非常に単純な理由がそこにはあるのです。

 例えば、銀行から運転資金として10,000千円の融資を、5年返済で受けたとします。の場合の毎月の返済額は、10,000千円÷60月で166千円となります。

 通常、運転資金として融資を受けた場合、返済がある程度進むと折り返し融資(銀行員は「反復」と言ったりもします)を受けることになります。

 例えば、5,000千円返したところで、減った分の5,000千円の折り返し融資を新たに受けます。この5,000千円も5年返済の条件としますと、毎月の返済額は83千円となります。

 いかがでしょうか?この時の借入金残高は、当初借りた分の5,000千円と、折り返しで新たに借りた分の5,000千円、合わせて10,000千円で、当初借りた金額と全く同額を維持しています。

 ところが毎月の返済額は、当初借りた分の毎月166千円、折り返しで借りた分の毎月83千円、合計249千円に増えているのです。

 銀行から借りている金額は10,000千円のまま、返済期間も5年で借りている、なのに毎月の返済額は249千円に増えています。

 さらに、当初借りた分を3,000千円、折り返しで借りた分を1,500千円返したところで、減った分の4,500千円の折り返し融資を受けます。

 この時、当初借りた分の残高が2,000千円、一回目の折り返し分の残高が3,500千円、二回目の折り返し分の残高が4,500千円ですので、銀行からの借入金残高はやっぱり10,000千円のままです。では、毎月の返済額はどうなるでしょうか。

 当初借り入れた分の166千円、一回目の折り返し分の83千円、二回目の折り返し分の75千円(4,500千円÷60月)、合計はなんと324千円にもなります。

 銀行から借りている金額は10,000千円のままなのに、折り返し融資を2回受けただけで、毎月の返済額は166千円から324千円と2倍に膨れ上がりました。

 10,000千円をこの時の毎月の返済額324千円で割ってみると30月になります。これも面白い現象で、全て5年返済、つまり60月返済で借りているのに、現実の返済ペースはその半分の3年弱のペースに早まっています。しかも当初借りた166千円の返済が終わるまでにまだ1年残っていますので、1年間はこのままです。

 このように、返しては借りてを繰り返すうちに、毎月の返済額は増えていくようになっているのです。

 このような場合の改善策ですが、まずは、毎月約定返済のある長期借入金残高を毎月の元金返済額で割ってみてください。その月数が融資を受けるときの返済期間とほぼ変わらなければ問題ありません。

 上記の例のように、社長が5年で借りていると思っているのに、返済ペースが3年になっていたりすれば、改善が必要です。

 改善策としては、今後融資を受ける際に、①お金が足りない分だけちょこちょこ借りずに思い切って多めに借りておくことと、②既存の融資との“おまとめ”を銀行担当者に依頼することです。

 上記の例であれば、最初に折り返しの融資を受ける際に、単純に減った分を借りるのではなく、10,000千円の融資を受けて、既存の融資残高5,000千円を返済し、真水で5,000千円を残すというおまとめ交渉を行うのですが、この交渉をされている経営者は少ないようです。

 

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