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2019.8.5

キャリアアップ助成金を活用しよう!

 助成金には国の主管する助成金、地方自治体の主管する助成金など様々な助成金があります。

 助成金は創業や雇用に掛かった費用の一部を、あとから助成(補助)してもらえるという性質のものです。創業する前・雇用する前には受け取ることができません。雇用関係の助成金は、受給条件に該当すればもらうことが出来るものです。創業融資と上手く組み合わせて、無理のない計画を立てることが大切です。

 

 飲食店では初めから正社員として従業員を雇い入れることはそれほど多くありません。特に新卒の正社員の採用が出来るのは一部の大手外食チェーンなどに限定されるのではないでしょうか。多くの飲食店では、バイトとして雇い入れ、後に見どころがあるから正社員にならないか?と持ちかけたり、従業員の方から正社員登用制などを利用して正社員試験にチャレンジするといったことが多いのではなでしょうか。

 キャリアアップ助成金のコースの一つに「正社員化コース」があります。雇用の安定化を目的としたものですが、非正規雇用を正規雇用に転換、または直接雇用した場合に助成金が受給できるコースです。今回は飲食店と相性の良い「正社員化コース」についてご紹介します。

 

受給できる金額について

 内容によって受給金額が変わります。受給金額が最も大きいのは「有期雇用から正規雇用」で、中小企業かつ生産性の向上が認められた場合には1人あたり最大72万円が支給されます。生産性の向上が認められなかった場合でも1人あたり最大57万円が支給されます。

< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は中小企業以外の額

①有期 → 正規:1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
②有期 → 無期:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
③無期 → 正規:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)

<①③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで>

「中小企業事業主」の範囲は
 小売業(飲食店を含む)…資本金の額・出資の総額5,000万円以下または常時雇用する労働者の数50人以下になります。

 

受給要件について
 キャリアアップ助成金で共通するものと正社員化コースのみに適用されるものとありますので注意が必要です。

キャリアアップ助成金で共通する事業所要件
• 雇用保険適用事業所の事業主であること
• 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
• 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
(キャリアアップ計画書は、コース実施日までに管轄労働局長に提出すること)
• 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
• キャリアアップ計画期間内に、キャリアアップに取り組んだ事業主であること

 

 「キャリアアップ計画」とは、非正規雇用労働者のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるために、今後のおおまかな取り組み(目標・期間・目標を達成するために事業主が行う取り組み)などイメージでいいのであらかじめ記入するものです。キャリアアップ計画は、あくまでも当初の計画を記入するため、変更届を提出すれば随時変更することも可能です。

 

 「キャリアアップ管理者」とはこのキャリアアップ計画をすすめる人のことで、1事業所あたり1名配置します。キャリアアップに関して知識、経験のある人が望ましいですが、資格などは必要ありません。

 

正社員化コース特有の事業所要件
 正社員化コース特有の要件は、「転換される労働者」「転換する事業主」の双方に条件があります。雇用して6ヶ月以上の労働者であること、正規雇用を前提とした有期雇用でないこと、事業主や取締役の3等親以内の親族でないことなど、不正受給を防ぐための要件が主となります。

 

 手続きの申請に関しては、キャリアアップ計画書の作成や、人事制度や就業規則の改定を経て、転換後、正規雇用労働者、または無期雇用労働者としての賃金を半年の支払いが必要となります。

 支給申請はその後、賃金を半年分支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請するフローとなります。

 

助成金申請における注意点について
 キャリアアップ計画書を提出し、労働局の認定を受けていることが挙げられます。転換前に事前に申請をすることが必要で、計画書を提出せずに正社員へ転換してしまった場合助成を受けることはできません。

 対象労働者の労働者名簿、賃金台帳や雇用契約書、就業規則等を提出するため、これらの書類はチェックされます。チェック項目は、それぞれの整合性、時間外、休日、深夜の手当が支給されているか、またその計算方法は正しいか、その他労働基準法に違反する事項はないか等、細かく見られますので労働法令等を遵守していることは大切です。

 

 対象労働者を転換後6か月以上雇用し、6か月分の賃金を支払っていることが求められますが転換前6ヶ月の賃金と転換後6ヶ月の給与が5%以上アップしていることも条件となるので注意が必要です。

 非正規雇用の社員を正規社員に雇用する制度作りを始めるきっかけとして、決して少なくない金額を受給できる良い機会ではないでしょうか。

 

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